2008年10月25日土曜日

ニューヨークの宿

 今年は二回もニューヨークへ行くこととなった。まず5月、ICPのグループ展に参加するために。そして7月,個展のために。5月だというのに寒くて,そして7月は10分を超えて歩きたくないような暑さ。逃げ場はいっぱいあるし,写真撮影が目的ではないから構わないのだけれど。というか仕方ない。
 最初はタコマークの旅行会社でニューヨークのど真ん中のでっかいホテルを予約した。なかなか快適。私の部屋は上の方で眺めもいいし広い。バスタブもありシャンプーだのリンスだのもちゃんとあり、石けんは引き続き使いますと書いておかないと,毎日替えられてもったいない。木製の大きな作りの中にそれなりの大きさのテレビがあった。簞笥のような存在感だった。ドアの外側が膨らんでいる。二重扉のようになっている。とても不思議だったが、居合わせたN.Y.在住の人によると、クリーニングの受け渡し用の扉だという。内側からクリーニングに出す衣類をその扉の外側に吊るしておくと、向こうからそれを開けて、持って行くのだという。
 7月に行ったときは、エージェントの方が割とよく利用されているという下町に近いホテルにした。前の所でもよかったのだけど、たまたまいっぱいだったし、こちらも使い勝手の良さそうなホテルだったし、確かに町中で行き交う人の話し声なんかも聞こえて、リッチとは言えないながらもなかなか快適だった。シャンプー、リンスは当然のごとくなく、シャワーも固定式でえらく狭いので、体をいろんな角度にひねりながらでないとシャワーを使えない、のはたいそう不便ではあったが耐えられないほどではない。向かいに朝早くからやっている店があり、連日ここで朝食をとった。旅行中はいつも朝ご飯を何にしようかと頭を悩ますので、これはとても好都合だった。ガスパチョだとかキッシュだとかも試みた。毎朝ミルクコーヒーを頼んだ。この濃さが、飲み慣れている家の味に近く、通った遠因かもしれないと思う。
 この写真は7月の宿の泊まった部屋を外から見たもの。すぐの所に交差点があり、窓の前を大勢人が通る。ホテルの1階の部屋というのも珍しい。唐突に人の声や足音が聞こえるのは慣れるまで何となく不安ではあったが、仕舞には内側から外を覗くような気分で楽しくなった。